『キツネのアンバと少年ソラン』






『キツネのアンバと少年ソラン』
第12作品🍀



ある朝のこと。
キラキラと雪が輝く朝
極寒の地に一人の少年が元気に生まれてきた。

彼のお家は、
お祖父さんのお祖父さんの
そのまたお祖父さんの時代から猟をして暮らしてきた。
(猟と云うのはね、生き物の命を頂くと云う事なんだよ。)

短い夏を愛おしんでる間に
長くて寒い冬がやってくること15回。


たくさんの人の愛情を受けて大きくなった少年ソランはある日、お祖父さんから1本のキツネの毛皮のマフラーを貰う。


そのマフラーをすると云う事は、
そろそろ、猟師として独り立ちする日が近付いてきたのだろう。


ソランのお祖父さんも子供の頃、
お祖父さんのお祖父さんから渡され、
ソランのお父さんもお父さんのお祖父さんから渡されてきた我が家に代々使われてきたキツネの毛皮のマフラー。


そのマフラーをすると驚く程に寒さを感じない!

でも、お祖父さんが僕に渡す時
『このマフラーを使うのは、この冬だけだ。今まで見ていた冬とは違う冬に出会うだろう。出掛ける時は必ず毎日使う事。どんな事があっても冬の間は使いなさい。』


僕は心の中でそんな事を言われなくても
こんなに暖かいんだから、
毎日使うに決まってる‼と思ったけど、
威厳のあるお祖父さんには、
逆らえないから、
『はい。お祖父さん』と答えた。


それからの僕は、お祖父さんの言い付け通りにマフラーをして、お家を出た。


初めてマフラーをしてお家を出た時、
不思議な感じがした。


ただの暖かさだけじゃない。


お母さんに優しく撫でられてるような舐められてるような感触と
ミルクのような匂いがした。
あっ!これはっ!!!


マフラーのキツネのアンバが生まれた日が見えたのだ。


お母さんキツネは、愛おしそうに子ギツネのアンバを優しく抱きしめてる。


アンバは母親の愛情に包まれ、安心しておっぱいを飲んでる。



うわっ!ビックリした!


マフラーを外したら、景色が変わった‼

なんだったんたろ?!
初めて体験した不思議な感覚。



数日後、マフラーを付けて出掛けたら、少し大きくなったアンバが走ってる。


あ~、草原を走るのって気持ちがいいなぁ~
風と踊る感じが好きだよ。


月夜の晩などは遠くに暮らす仲間達と歌を交わしあうのも好きだ!


ソランはアンバを首に巻くことで、
アンバが生まれてからの楽しい日々を
知る事が出来た。

動物達もお母さんお父さん兄弟達と
笑いあい愛し合ってる事も解った。


何日も食べ物にありつけない日もあったり、
暑い夏は喉が渇いてしょうがない時もあった。


それでもアンバは歌を歌い、
草花を愛し、
一緒に生きる仲間達を愛してる事が
解った。


ソランは、アンバを付けて出掛けるのがすっかり楽しくなってきた。



そんなある日の事
アンバが泣いてる場面に出くわした。

雨のあと、増水して勢いが増した川に
足を滑らした兄弟が流されてしまったのだ。
アンバの悲しみが首を伝って、ソランの胸をぎゅっと締め付けた。


ソランは、段々、マフラーをする事が
苦しくなってきた。

でも、お祖父さんとの約束があるから、苦しくても毎日付けて出掛けなきゃ。


段々、寒さが弱まり、
春が近付き、
雪が降る日が少なくなってきたある日の事。

いつも通りにアンバを付けて出掛けた。


アンバとお母さんが笑いながら、
森の中を走っていた。


突然、耳をつんざく程の大きな音がしたと思ったら、お母さんが倒れた。

ライフルと云う物らしい!

僕がお母さんに駆け寄ろうとしたら、お母さんは息も絶え絶えながら、僕に『早く逃げなさい。早く早く。さような。。。』



お母さんを置いて逃げた自責の念に駆られながらも
森のはずれまで、必死に逃げた。


ソランも一緒に息が苦しくなった。


毎日、アンバと過ごしているうちにアンバに深い愛情が育ったソラン。


アンバの涙とソランの涙が
1つになって大地に流れ落ちて行く。


お母さんを殺された幼いアンバ。


ソランは声をあげて
空を見上げながら
涙が涸れるまで泣いた。


泣いてるうちに
何故、お祖父さんが僕に
アンバのマフラーを渡したのかを
悟った。

そして、何故、この冬だけアンバと過ごすのかも。


僕たち人間は、命を頂いて生かされているのだ。

必要以上の命を獲ってはいけない。


東の方に太陽が早く昇る小さな島がある。

その島では、食べる前に手を合わせ、
『命を頂きます。ありがとうございます。』と
自分の命を繋いでくれる他の命に感謝を捧げるそうだ。


お祖父さんがいつも食事の前に言っていた言葉の意味を今、初めて深く知ったソラン。
呪文じゃなかったんだ。


涙も乾き、周りを見回すと


春を告げるふきのとうが
あちらこちらで顔を出していた。

ソランの冬が終わった☆

そして、ソランは思った。
生まれ変わるって生きているうちに経験出来るのだ‼と。




~おしまい~


フェイクファ~のマフラーを首に巻いたら、この物語が出てきました(*^^*)
2015年最後の物語☆

来年も色々書けたらいいなぁ~っ!

お付き合いくださいまして
ありがとうございました\(^o^)/
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プロフィール

ゴスペルシンガーHAL

Author:ゴスペルシンガーHAL
ゴスペルシンガー、
ボイストレーナー。
個性派ボーカルグループ「COCORO*CO」や「ビックリトル」で活躍中。数多くのグループにゴスペルも指導。国境なき楽団・海を渡る風のプロジェクトリーダー。

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