『ハマコとトリタマ』



嘘のような話だけど、
信じるか?信じないか?は
あなた次第。

私の名前は、羽田鞠子。

羽の付いた鞠のような上手いこと出来てる名前。
鞠子と言う名前は、父方のひい祖父さんが付けてくれたようだ。わりと気に入ってる。

何故か?小さな頃から、お友達は、私の事を親しみを込めて『ハマコ』と呼ぶ。

ハマコが生まれた町は、
漁業と林業、
そして、端から端まで徒歩20分も掛からないような小さな小さな商店街があり、
夜6時には閉まってしまうお店が多く、7時には軒並みシャッターが降りて、
まるで、もう開くことのない瞼を瞑ったような光景。

寂しさも感じたけど、ゆっくり休んでね!と優しい気持ちにもなった。

そんな町の大人達の楽しみは、食べる事と噂話なんだな~と小さいながらに思ってた。

そして、そんな町でも愛しいけれど、噂話で一生を終えてしまうのは、寂しい!
大人になったら、愛しい町の思い出と少しの大切な宝物を持って、生き生き輝く街を目指そう!となんとなく思いながら、18歳を迎えた。

優しく育ててくれた両親と祖父母、妹にサヨナラを告げて、新しい暮らしを始めたハマコ。

学校では、一生懸命にデザインを勉強して、
わりと大きなデザイン会社に就職も出来た。

自分の思い描いた生き方が出来ているハマコは、毎日を生き生き暮らすうちに、仕事にも遣り甲斐を見付け、どんどん依頼も増えた。

元来が頑張り屋の性格なので、上司達も引き上げてくれ、
仕事が生きる目的になったある日のこと。

一緒に入った同期の友達は、所謂、寿退社で
一人去り、二人去りして、
ハマコ一人が残った。
 
いつの間にか、若い部下達に
妙に気を使わせる年齢になってた。

それでも、充実した仕事ライフを送れているので、いつまでも独身でいる事を気にしないようにしていた所、
会社の検診で病気が見つかった。

仕事にのめり込むあまり、
支障を来すほどの
心の襞に深く刻まれるような恋に没頭する事はなく、
通り過ぎて行く風のような恋達でハマコには十分だった。

そうは言っても、深夜に聞く冷蔵庫の鼓動やマンションの前を通り過ぎて行くハイヒールの音を聞きながら、
自問自答する時もある。

好きな事、やりたい事を仕事に出来た事は、ほんとに幸せな事なのか?って。

神様が用意してくれている
沢山の引き出しの中には、
もっともっと自分らしい、
自分の想像を遥かに越える喜びがあって、まだ、その引き出しの取っ手にさえ、自分は手を掛けていないのかもしれない。。。なんて思ったり。


病気は幸いな事に小さな手術と投薬治療を続けることで乗り越える事が出来た。

一人暮らしのハマコにとっては、病気になった事で、
一人暮らしって、独り暮らしなんだな~と思うようになった。
心に変化が起こったのだ。

変化が起こったのは、心だけじゃなく身体にも現れてきた。
朝起きると指先が強ばったり、身体の関節がガクガクしたり、急におでこから、汗が吹き出したり、胸元に汗が流れたり、、、。

そして、予期せぬ時に予期せぬ場所で、誰が見ても解るくらいに顔が一瞬、赤らむようになった。

ホルモン療法の影響だ。

そう言えば、母もそうだったような朧気な記憶がある。

気にしない事が1番の薬だ!と思ったハマコは、冬でも厚手のタオルを持ち歩き、汗をふきふき、更に仕事に精を出した。

そんなある日のこと、
全くもって、恋の対象ではなかった会社の先輩トリタマ(鳥飼珠夫)にランチに誘われた。

そんな日が何度も続くうちに
トリタマが真面目な顔をして、お付き合いしてほしい!と言ってきたのだ。

別になんとも思ってなかったけど、断る理由もなく、
いいよ!とラフに答えた。

そうして、トリタマとハマコのお付き合いが始まったのだが付き合いが深くなり、
言いたい事が言い合えるようになったある日の事。

トリタマがこう言った。

『ハマコはさ、顔に出やすいんだよね~。もう少し待ってても良かったんだけど、僕から言った方がスマートかな?って思ってさ。
いつもいつも、僕と会うとさ、顔を赤らめて、汗をいっぱいかいてるじゃない。
それがさ、可愛いなぁ~って思って、ランチに誘ったんだよ。』

ハマコは、あまりの可笑しさと愛しさに顔を赤らめて、
噴き出す汗を拭きながら、

『アハハ。ありがとう!!!そうそう顔に出やすいのよ。』

まさか、更年期障害で
汗が出たり、顔が赤らんでるなんて言えない( ≧∀≦)ノ

あっ!
病気をしたことで、
顔が赤らむ事で
神様が用意してくれた二人暮らしの引き出しが開いたのね。

誤解から始まる愛もある。



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コメント

トリタマ

😆👍✨Nice✨
こんな始まりも💞HAPPY😆💕✨ですね🌈

ありがとうございます\(^-^)/
嬉しいです‼
何がきっかけで新しいものが生まれるかは
誰も解らないですけど、
どんな事が起こってもプラスに出来る力を付けたいものです(^-^)

掌編小説の良さ

僕は詩と音楽論も含めた「論」がほとんどで30枚ほどの小説も3つほど書いています。HALさんのこの長さの物語は重くも比較的「みんなが経験すること」風にも読めます。僕は男なので女性の「更年期」に伴う鬱は解りにくいのですが、読み手によっては絶望のような気分になったり、「みんなにあること」的に捉える事の出来る人もいるでしょう。所謂アプローチの自由さがあるのはお上手だなーと感じます。この物語を男女の関係として書かれていることも、どこか主人公の「心の揺れの深さ」を暗示されてるとも感じます。この長さの物語に無理せず多くの心性を描いておられるのは元来創作家である方の産物と受け取っています。

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プロフィール

ゴスペルシンガーHAL

Author:ゴスペルシンガーHAL
ゴスペルシンガー、
ボイストレーナー。
個性派ボーカルグループ「COCORO*CO」や「ビックリトル」で活躍中。数多くのグループにゴスペルも指導。国境なき楽団・海を渡る風のプロジェクトリーダー。

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